ランニング初心者集まれ
走って変わった!-先輩ランナーからのメッセージ-
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熱心に運動する人たちを冷めた目で見ていた自分。
趣味の古典読解に挑む精神も鍛えてくれた
ランニングにネガティブ要素はありませんでした
田中陽一さん Yoichi Tanaka
ランニング歴5年 49歳 東京都在住
20代から30 代はひたすら仕事ばかりで、運動を熱心にしようと思ったことはありませんでした。
徐々に身体のことが気になり始めた35歳ぐらいの頃、水泳をしようとフィットネスクラブに入会したんです。
とはいえ週に1~2回の頻度で30分かけて1000mを泳ぐ、リラックス目的。
息が上がるほど泳ぐ人の様子を冷めた目で見ていました。
自分がまさかの「トレーニング」の世界へ
しばらく練習を重ねるうちに、隣のレーンでトライアスロンクラブの練習会に遭遇する機会が増え、ふとしたきっかけで「一緒に泳ぎましょう。トレーニングしましょう!」と誘われたのです。これまで軽侮すら感じていた世界に入り込むことになったんですね。
そこからは、あれよあれよという間の変化です。気がつけばスイムのみならずランにのめり込む自分がおり、ラン歴5年の間にフルマラソンは10回以上、ウルトラマラソンも4回の出場を数えるに至っています。集団の「引きの強さ」に感じ入っていますね(笑)。
ふだんの練習は早朝ラン。仕事柄出張が多いが、 そんなときも必ずシューズを持参する |
良い仲間との出会いが継続できた最大のファクター
“トレーニング”などとは別世界のはずだった自分がどうしてここまで続けられたのかというと 、「良い仲間に出会えた」というのが最大のキーファクターだったと思っています。たとえ日々のトレーニングを始めてみても、仕事が、天気が、体調が……と「今日の練習を休む理由」には事欠かないと言っても良いでしょう。それらを振り切って、よしやるぞ、という最大のモチベーションになってきたのは定期的にクラブメンバーと一緒に練習をする楽しさなんですね。
もうひとつは「記録すること」でしょうか。先月の自分、1年前の自分と比べてどれだけタイムが縮まったか、または距離が伸びたかを知るのは小さな喜びです。この数カ月の練習成果を確認して、ほくそ笑む。それが高じてまた練習に励む。Run, Record and Runが、習慣や壁を乗り越えるための自分にとってのポジティブサイクルと感じています。
ランで身についた集中力で古典の名著にも親しめるように
まず、走ることによってもたらされた変化のうちネガティブなものは
「皆無」と申し上げておきたいと思います。
仕事柄、夜の付き合いも少なくないのですが、二次会に行くことはほとんどなく、さっと帰って翌朝のランニングに備えます。
それでもビジネス上支障を感じることはなく、むしろ集中して作業をこなすことができます。
また、「古典読解への集中力が増した」ことも挙げておきたいです。
学生時代から古い書籍を手に取って古人と対話することを好んでいるのですが、現代の書籍と異なりスラスラと頭に入ってくるわけではなく、一定の忍耐力・集中力が不可欠です。ドストエフスキーの『罪と罰』、ダンテの『神曲』、西田幾多郎『善の研究』など、若い時にチャレンジしたもののついに読了できずに放置していた書籍にいま慣れ親しむことができるようになったんですね。これもランのおかげ、と感謝しています。
レースを走っていると必ずしんどい時がありますが、それも淡々とペースを刻むことでやり過ごすことができるようになります。同様に世に「名著」と言われる本は途中難解で投げ出したくなることが少なくないですが、それでも少しの間だけ辛抱して文字を追うと新たな境地に至り、理解が進むことがあります。その間合いが走ることに似ているので、読書の生産性が上がった気がします。こちらはRun, Read and Runとなりましょう。
サロマ湖100kmウルトラマラソン、ベルリンマラソン、と新しい扉へのチャレンジ!
レースではゴールする度に「…もうちょっとイケたんじゃないかな?」という思いが頭をよぎります。全力を尽くしますが、それでもまだ「この壁の向こう側の世界」があるような気がしてしまうんですね。
最初のフルマラソンに出場した折、「一回走ればまぁいいかな」と思っていました。でもゴールした後には次のレースをスマホでサーチしていました(笑)。3回目のサロマ湖ウルトラマラソンにチャレンジした際(過去2回は途中リタイア)、ゴールできたらウルトラは卒業かな、と考えていました。でも、ゴールから数日後には「来年はもっとしっかり走りたい」と。
持久系レースというのはオモシロクもオソロシイもので、“小さな誘惑”に抗し切れず今日に至っています。Run and Run beyondな日々は当分続きそうな気配ですね。
サロマ湖100kmウルトラマラソンは3回目にして ついに走破! ゴールしたら満足するかと 思いきや、数日後には来年度への抱負が ふつふつと・・・ |
今年はベルリンマラソンにもチャレンジ! 「9月末のベルリンは日中の気温が16℃。 風もほとんどなく、コースは下り基調。まさに コース自身が『さぁ、かっ飛んでください!』と 言っているかのようで、走ることの気持ちよさを 実感させてくれるコースでした」 |
ランに、ネガティブな要素なし。まずは動いてみてください!
どんな物事にも良い面と悪い面があるかと思いますが、ことランに関して言えば、私が思うにどれだけ頭をひねってもネガティブポイントを挙げることができません。強いて申せば「故障した時に練習が思いどおりできずに悲しい気持ちになる」ことかと思いますが……これとても、ランの魅力を語る逸話に過ぎないでしょう。
その昔プールでバタフライに勤しむ人を冷笑していたように、「走る」という行為について、私も最初は一歩も二歩も引いて見ていました。
ですが、自らが「行動」を起こしてから全く異なる世界が広がり、今でもその広がりは勢いを増しています。
お勧めはまず動くこと。動くためには着替えることです。着替えるためにはウェアを買うことです。Shop & Run!
このRUNNETをご覧の方々とどこかの大会でお会いできることを楽しみしています。