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【特別対談】藤原 新(ロンドン五輪代表)×宮原 徹(富士登山競走大会記録保持者)「山を走ると本能がリセットされる」

2024年6月24日


ロンドン五輪マラソン代表の藤原新さん(42歳・現スズキACヘッドコーチ)と富士登山競走大会記録保持者の宮原徹さん(41歳・滝ヶ原自衛隊)は同じ長崎県立諫早高校出身で、高校時代に一緒に山を走っていたといいます。今もそれぞれの場で山を走っている2人が、トレイルランの魅力を語り合いました。


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――お二人は諫早高校時代、一緒に山やトレイルを走っていたそうですね。諫早高校は強豪校で練習も厳しそうですが、いつ山を走りに行っていたんですか。
藤原
 休みの日かジョグの日に。アクティブレストです。まだネットとかない時代なので、地図を見て、多分行けるはず、という感じで現場の道しるべに従って。富川渓谷(※)だと3時間とか4時間コース。途中まで自転車で行って、道端に止めて走りに行くこともあったよね。
宮原 純粋に楽しかったですね。リラックスできて。

――藤原さんはなぜ宮原さんを山へ誘ったんですか。
藤原
 ジョグをする時、淡々タイプと冒険者タイプがいて。彼は冒険者タイプだったので。
宮原 自分は自然の中を走るのが好きでしたからね。
藤原 知らないところに行ってみたい、というような。
宮原 確かにそれはありましたね。同じ道を走っていると飽きてしまうので、新しい道、新しい道を、というのが好きでした。
藤原 今だとグーグルマップで簡単にルートを見つけられるけど、当時は行き当たりばったりでしたね。

――卒業後、藤原さんは拓殖大学に進まれましたが、それ以降の山とのつながりは。
藤原
 大学時代はトレイルから少し離れたんですけど、JR東日本に入ってからは高尾山をよく走りました。それから読売ランドの下の、穴澤天神社の脇にもいいトレイルを見つけて、よく行きました。1周15分くらいの周回コースで、階段ダッシュとミックスしながら走るんです。当時拠点が国分寺だったんですが、いいコースを見つけたら電車に乗って、大体一人で行っていました。

――山を走ると、普段とは違う心境になれるのでしょうか。
藤原
 高尾山へ行く時は、チームの練習に組み込まれていない中で行くんですよ。人間ってちょっと油断すると、たるんでくるじゃないですか。僕はどちらかというとすぐたるむ方なんで、山に行ってあえてきついジョグを3時間とか走って帰ってくると、『よし俺にはやる気があるんだ』と自己確認できるので、その儀式でもありました。

――宮原さんは高校卒業後に自衛隊に入られて、どこから山を走るようになったのですか。
宮原
 自衛隊体育学校の陸上部に入って、実業団のように走るのがメインの生活になりました。その頃は駅伝、トラックへ向けた練習で、山は走ってません。朝練、午前、午後と1日3回練習があって、自分にはオーバーワークだったのでしょうね。1年のうちの半分はケガで、足の裏から股関節まで全部故障したぐらい。それで競技をやめて地元の部隊に帰ろうかなと思っていた時に、滝ヶ原駐屯地の陸上部の当時の監督に声をかけられたんです。滝ヶ原は富士登山駅伝に1番力を入れていて、それは面白い、やってみようと。それが2005年の3月です。

――それが山を走るキッカケになったと。
宮原
 富士登山駅伝にはロードと山の区間があるのですが、自分に山の適性があるかどうか全然わからず、最初はどちらもやりました。そうしたら1年目で5000mも1万mも自己ベストが出たんです。練習量も質も落ちたんですが、うまく自分のペースで走れて、ケガしなかったのが良かったんですね。それで05年の富士登山競走で鏑木毅さんが優勝した後、チーム内でちょっと出てみれば、という雰囲気になって。06年に初めて挑戦したら、大会新記録で優勝できたんです。



――山を走ってきたことが、人間形成に影響した部分はありますか。
藤原
 原始人みたいな感覚って重要だと思うんですよ。狩猟採集社会で食べ物がなくなったら、あの山を越えたら何かあるかも、ってなるじゃないですか。僕らの本能って結局変わってなくて、この先にどんな風景があるんだろうという好奇心がある。トレイルには沢があり、植物があり、やぶがガサガサし、そういう連続が、いい感じで原始時代に自分を返して、本能をリセットしてくれる。
宮原 トレイルランニングって、自然体になれる場であり、僕を助けてくれた存在なんです。滝ヶ原に来て1年目、足に力が入らない、いわゆるぬけぬけ病になったんです。全国都道府県対抗駅伝の静岡代表にも選ばれていたんですけど、全く走れない。それで、どうしたらいいんだろうと思った時に、山に行くと足に力が入って。ああ、山だったら走れると。それから一切トラック練習とロード練習をやめて、山だけ走っていた時期があったんです。それが06年で、その後、富士登山競走で大会記録を出せたんです。その流れで今もトラック練習はほとんどやってないですね。なので、トレイルランニングには助けられたという思いは強いです。

※ 諫早市の中心市街地から北に約12㎞、多良山系の奥深くの本明川の一支流にある渓谷


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発売中のランナーズ8月号では対談全文を掲載。トレイルランで得られる身体的・精神的な効果も語っています。また大会記録保持者の宮原さんによる「富士登山競走」大会1カ月前からレース本番への対策も必読です。

(写真/軍記ひろし)



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