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RUNNERS WOMAN SPECIAL

オンナ3人、東北・秋田の山旅! こわごわ出場した初めてのトレイルレース


秋田県の太平山で開催されたトレイルランレース、「AKITA Trail Run Festival(ATRF)」で、初めてのトレイルラン(15km)を体験したRUNNETスタッフのリポートをお送りします!

50代半ばとなり、月間150~200kmとコンスタントに走っているのに、フルマラソンでは確実に5時間以上かかってしまう。
最近なんでもないところでつまずくことが多くなり、やけにトイレも近くなってきた。そんな私が友人に誘われ、初めてのトレイルランに出場することになった。大丈夫かわたし?

トレイルでまず不安になるのは捻挫などの故障。特に、この後控えているフルマラソンなどのレースを考えると、長期間走れなくなることは避けたい。そこで最も不安な足首をしっかりとテープで固定。さらに、冬が近づく北国の山を走るため「遭難しても自力で生き延びること」を念頭に持ち物を準備した。ウエアなら、動けなくなった場合を想定してレース用とは別に厚手のものをバックパックに入れ、水や補給食は必要量の2倍程度、さらに熊よけの鈴やホイッスルも用意しその日を迎えた。

遅いことは分かっていたが…
スタート10分後には最後尾に

スタート&ゴール会場は秋田市の太平山スキー場。
ロング(27km)がスタートした後、私たちが出場する
ミドル(15km)が8時45分にスタート!
ゲレンデに向かって走り出したのはいいけれど、すぐに急斜面で息が上がる。
最後尾者につくスイーパーのスタッフの男性が、ピッタリと私たちに付いてくる。スタートして10分とたっていないのに…。
ロードの大会なら悲壮感ただようだろうこの状況だが、なんだか楽しいのが不思議!
急斜面を登りきると、気持ちよさそうなトレイルが出現。やっと走れる! 思わず駆け出す。紅葉した木々は黄色、オレンジ、茜色ときれいな色のモザイク模様。足元も落ち葉でふかふか。
「ヒャッホー、気持ちいい~!!」

広々としたグラウンドゴルフ場の中の道を通過すると、プレイを楽しんでいたたくさんの方たちが、手を止めて近づいて応援してくれた。
「ありがとうございま~す!」手を振って応えながら走り抜ける。速い選手になった気分。
三人三様、音の違う熊鈴がリンリンと林道に鳴り響く。
前日にスタッフの方に聞いたのだが、熊が出てきたら伏せるのが基本らしい。冬眠前の熊にとって、鈍足で体脂肪率の高い私が最も狙われやすいはず。それを意識してかしないでか、「それぞれのペースで走ろうね」といってスタートしたのに、あとの二人も護衛するように、私のペースに合わせてくれている。

秋田市の太平山スキー場をスタート!
秋田市の太平山スキー場をスタート!
スキー場のロッジを背にゲレンデに向かって走り始める
スキー場のロッジを背にゲレンデに向かって走り始める
きちんと整備された松林を抜ける。ふかふかして走りやすい
きちんと整備された松林を抜ける。
ふかふかして走りやすい
一足先に紅葉&黄葉が楽しめるのが魅力!
一足先に紅葉&黄葉が楽しめるのが魅力!

黄葉、熊、大会のことなどなど、走りながら話が止まらない

黄葉、熊、大会のことなどなど、走りながら話が
止まらない

途中大きな杉の木から太古のパワーをいただく

途中大きな杉の木から太古のパワーをいただく

温かいエイドステーション
が、本格的山の道は険しい

待望の補給食エイドのある金山滝(8km地点)に着くと、かわいい女性スタッフたちが出迎えてくれた。温かいスープと、手づくりと思われるチョコレートブラウニー、「いぶりがっこ」もある。
おいしくてもっと食べたいのだが、ロングの部の選手たちが次々とやってきた。
早々に切り上げ、ここから始まる本格的なシングルトラックの登山道へと進む。渓流をまたぐ丸木橋を渡り、鎖場(実際にはロープ)もある。ちょっとアドベンチャー気分。
ここらへんから両手も動員しての総力戦。スピードはめっきり落ち、息は上がる。
トレイルランのトップ選手は、10m程度先を見て走るらしい。
しかし初心者の私は、次の一歩をどこに置くか、どの岩に手をかけるかしか考えられない。
マラソンだと「30km過ぎたら痛みが出てくるかな…」とか、先に起こるであろう、だいたいネガティブなことを想像してしまうことが多いけど、いまこの瞬間に集中できるということは、かえって気持ちがいい。

温かく迎えてくれた金山滝エイドステーションのみなさん
温かく迎えてくれた金山滝エイドステーションのみなさん

人一倍遅いのに、しっかりと滝も見物しました

人一倍遅いのに、しっかりと滝も見物しました

渓流を渡る丸木橋。ちょっぴり冒険チックで楽しい!

渓流を渡る丸木橋。ちょっぴり冒険チックで楽しい!

歴史ある信仰の道を登る
楽しく走れるいまに感謝!

息をハアハアさせ、ひざに手をつきながら登ると、道沿いに多くの石仏が立っている。見ると「安政○○年」といった建立の時期が彫られている。
「幕末の、安政の大獄とか、桜田門外の変とかあった頃かなあ?」
「この道は信仰の道だったんです」と、すかさずスイーパーのお兄さんの解説が入る。
かつてこの道は女人禁制で、女性はこのコースの最高点、女人堂(標高700m)までしか行けなかったという。その先を走らせてもらえる現代の私たちは幸せ! 出会う石仏ごとに「無事のゴール」を祈りつつ進む。
急な上りが続いた後、走りやすそうなトレイルが見えてきたが…
「あれ、脚が動かない」「私も…」
走れるはずのコースで、不思議なくらい脚が前に出ない。急な坂を上ったことで脚の筋肉が拒絶反応を示し始めたよう。なんでもないはずの平坦な道で、木の根に脚をとられてスッテンコロリン。
「危険なところより、こういう気が抜けるところで転ぶもの。人生もそうかもしれないなあ」
トレイルを走ると、ひとは哲学者になるようです。

本格的な登山道が始まる。場所によってはこんな所も
本格的な登山道が始まる。場所によってはこんな所も

山道にあちこちに江戸時代のものと思われる石仏が

山道にあちこちに江戸時代のものと思われる石仏が

ほそいシングルトラックなので、ほかの選手に会えば道を譲る

ほそいシングルトラックなので、ほかの選手に会えば道を譲る

下りは経験がものをいう
憧れの手つなぎでゴール!

このコースの最高地点、女人堂(8km地点)を過ぎて下りになると、ロングの選手たちと頻繁に出会う。みんな速い! 気温2℃とかなり寒いけどランパン、ランシャツの人もいる。その都度コースをよけて先にいってもらう。すれ違うたび「がんばって」「ありがとう」と声をかけ合う。応援すると、こちらも元気になるから不思議。
下りはラクになるかと思いきや、テクニック不足かなかなか進まない。前をいく友人たちのリズミカルな足どりを見ながら真似してみたが、急にヒザに痛みが走った。マズイ、この歳で故障すると回復に時間がかかる。ゆっくりマイペースで降りることに決めた途端、まわりの景色が目に入ってきた。きれいに紅葉している木々が本当に美しい! 

最後はスキーの林間コースと思われる、緩やかな草地をゴールまで駆け下りる。
待っていてくれた友人たちと一緒に手をつないでゴール! 3時間53分32秒。堂々の最終走者だ。
駆けっこしながらの、オンナ3人山の旅という感じだった今回、その後は温泉に入り、秋田名物、比内地鶏ときりたんぽと、おいしい地元の日本酒を堪能して、 記憶を失ったのでした。

はじめてのトレイルラン、最初は不安いっぱいだったけど、思い切って出てみれば、自然の懐の深さや厳しさに触れられ、一挙にランニングの世界が広がった。これをきっかけに、私たちは山練習を定期的に行うことにしたほど。興味のある女性ランナーの皆さんも、ぜひトライしてみてはいかがでしょう?  (RUNNETスタッフS)

最後は昨夜一緒に泊った仲間も合流。一緒にゴール!

最後は昨夜一緒に泊った仲間も合流。一緒にゴール!

スタッフのみなさんがお出むかえ! コース上も要所要所で声がけしてくれて、本当にありがたかった

スタッフのみなさんがお出むかえ! コース上も要所要所で声がけしてくれて、本当にありがたかった

3時間53分32秒の楽しいレースを終えてひと安心。その夜、秋田の楽しい時間はまだまだ続いたのでした

3時間53分32秒の楽しいレースを終えてひと安心。その夜、秋田の楽しい時間はまだまだ続いたのでした


大会名: AKITA Trail Run Festival in まんたらめ 2015
開催日: 2015年10月25日(日)
開催地: 秋田県秋田市・太平山スキー場周辺
・ロング(27km) 出走者:141人、完走者:136人、完走率:96.5%
・ミドル(15km) 出走者: 99人、完走者: 98人、完走率:99.0%
・ショート(4km) 出走者: 50組、完走者: 50組、完走率:100.0%


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